蕁麻疹(じんましん)とは
蕁麻疹(じんましん)とは、皮膚の一部が蚊に刺されたように突然膨れ上がり、短時間で消えてしまう症状の疾患です。赤み・かゆみ、場合によっては痛みを伴いますが、たいていの場合、数分から1日以内に収まります。
一方で、じんましんが発生しては消えを繰り返すこともあり、慢性的な症状をみせることもあります。原因がはっきりわからないことが多いですが、内服などによって症状を抑えることができ、人から人にうつることはありません。
じんましんの症状の特徴
- 蚊に刺されたような赤い膨らみ(膨疹(ぼうしん))が突然あらわれる
- 強いかゆみや焼けつくような痛み、チクチク感がある
- 数分から1日以内であとを残さず消える
- 顔を含め全身のどの部位にも症状があらわれやすい
- 湿疹と違って患部がカサつくことがなく、短時間で消える
なぜじんましんになるの?
じんましんは、食べ物や薬、暑さや寒さ、摩擦などによる物理的刺激、発汗、ストレスなど特定の刺激が原因で数日以内であとを残さず消える「急性じんましん」と、原因が特定できず6週間以上症状が出たり消えたりを繰り返す「慢性じんましん」に分かれます。じんましんのうち1~3割ほどは原因を特定できますが、それ以外は原因がはっきりわからないとされています。
慢性じんましんの場合、数か月~数年にわたって症状が続くこともありますが、発症から1~2年以内が症状のピークになります。治療によってしだいに症状が軽くなり、いずれ治るケースが多いとされています。
また、ストレス・疲労、体調不良や風邪、月経などによって、じんましんがあらわれやすくなったり悪化する場合があります。甲状腺疾患や膠原病など、病気が原因であらわれるじんましんの場合は、医療機関での検査が必要になります。
じんましんの原因・誘因の例
- 【食物】
魚介類(サバなどの青魚、エビなどの甲殻類など)、卵・乳製品(鶏卵、牛乳など)、肉類(豚肉、牛肉、鶏肉など)、穀類・野菜(大豆、小麦、タケノコなど) - 【食品添加物】
人工色素(黄色など)、防腐剤(パラベンなど) - 【薬剤】
抗生物質、非ステロイド性消炎鎮痛薬(アスピリンなど)、せき止めなど - 【植物・昆虫】
イラクサ、ゴム、ハチなど(触れたり刺された場合) - 【感染症】
寄生虫、真菌(カビ類)、細菌、ウイルス - 【物理的な刺激】
下着などによる摩擦や圧迫、こすれ、振動、寒冷・温熱刺激、日光など - 【運動・発汗】
運動、入浴、精神的な興奮などによる体内温度の上昇 - 【内臓・全身の病気】
甲状腺疾患、ウイルス性肝炎、膠原病など - 【疲労・ストレス】
身体的・精神的なもの
じんましんの治療法は?
じんましんの原因・悪化要因をできるだけ特定し、それらを避けながら薬による治療を行います。例えば、特定の食品が原因の場合はその食品を避けるようにし、衣類の生地が原因の場合は木綿などの柔らかい生地でできた服装に変えます。衣類の摩擦や圧迫などの刺激が原因の場合は、締め付けの少ないゆったりした服装にします。
じんましん自体の治療には、抗ヒスタミン薬や抗アレルギー薬の内服、または注射が用いられます。かゆみの対処法としては、患部を冷やしたり、市販のかゆみ止めを利用することで軽減する場合があります。ただし、寒冷刺激でじんましんが出る場合は悪化するため、冷やさないように注意が必要です。
じんましん以外に、意識の低下や呼吸困難など複数の症状が現れた場合には、アナフィラキシーショックと呼ばれる重篤なショック症状の可能性があります。早急に受診が必要です。
以下の要因は、じんましんを悪化させる場合があります
- 過度の飲酒
- 生活上のストレス
- 不定期な生活のリズム
- 疲労
- 睡眠不足
- 特定の食品や薬剤
- 感染症(かぜなど)